黒猫-私は女王-
結局昨夜だけでは謎は解明できず、この日も謎を解くのに追いやられていた。
だが、どれだけの時間が過ぎても謎を解明へと導く事が出来ないでいた。
天宮は赤いベルトの腕時計を見ると、時刻は午後6時を指していた。

今日で黒猫から、、、イヤ。
正確に言うと予告テープの電話が、警視庁にかかってきた日から2日経った。
今日中に謎を解かなければ大富豪の“心臓”が危ない。

朝からずっと点いているテレビ。
そのテレビからは絶えずニュースが流れている。
天宮は何となく眺める様にテレビを見詰めた。
と同時に特集コーナーが始まる。
明るい声でオープニングが流れ、

『今日もイケメンの秘密に迫りたいと思いまーす♪』

天宮は、くだらないと思い珈琲を取りに席を立つ。

『今日のイケメンは、今やテレビにも引っ張りだこの壕越匡哉(ホリコシマサヤ)さんでーす』

液晶画面には壕越匡哉と言う今時の草食系男子と若い女性キャスターが豪邸をバックに、並んで映っている。
その豪邸はホワイトハウスを思わせるかの様に真っ白な壁に覆われていて、前庭には花々が咲き乱れている。

『どんな秘密をお持ちなんですか?』

『僕はこの前心臓の手術をしました』

壕越匡哉の言葉に天宮の耳はピクリと反応した。


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