─ Alice ?─
人間って空飛べるんだね。
なんて呑気なことを
考えているうちに
一つ、違和感を感じた。
「飛ばされている…
というより吸い寄せられている?」
風が吹いているのではない
私を吸い寄せている。
私の居場所を知っていた人が
いたってこと?
チェシャ猫ではないのは確か。
帽子屋さんも違うわ。
薔薇園とは正反対だし…
お城の方向とも違うから
白兎たちも違う。
一体誰が…─
ヒュルルルルル ピタ
「うわっ…えぇっ!?!?」
風が消えた。
ってことは
「落ちるうぅぅうう!!」
嗚呼、神様仏様!!!
「助け……って?」
落ちていく、わけではなく
体はゆっくりと地上へ
降りていっていた。
まるで魔法がかかったかのように
ゆっくりと降り立っていた。
「……why?」
思わず英語。
「いやー
危ないところでしたなアリス!!」
聞き覚えのある明るい声
「お城を探しても
いらっしゃらなかったので
もしかして…と思いましてね。
きて正解でしたな。」
私を騙した張本人
「ハートエース……。」
「どこへいかれていたのです?
アリス殿。心配、
していたのですよ?」