─ Alice ?─
どこからか声がする。
私に囁きかける声。
─ 会いたいのでしょう ?
アリス は チェシャ猫 を
求めているのでしょう ?
チェシャ猫を求めている…
それは紛れもない事実。
だけど
「今のチェシャ猫に会っても意味がないわ。黒兎さんを助けて、チェシャ猫を元に戻すの。そして元に戻ったチェシャ猫に会うの。それが今の私の…」
─ 望み ?
「違うわ。目標よ。
望みなんかじゃないわ。」
望むだけじゃ駄目なのよ。
私は行動するって決めたの。
もう、迷わない。
─ 今回のアリスはなかなかしぶといね。
でも…
どこまでその意志が続くかな?
クスクス、と笑い声が頭の中に響く。
不快なほど森中がざわめき、
全てが私の敵のよう。
「 ア リ ス 。」
聞き覚えのある声。
ゆらり、と揺れる紫の尻尾。
「チェシャ猫…。」
何故、此処にいるのか。
何故、居場所がわかったのか。
何故 何故 何故
「驚いた顔して…どうしたんだ?」
目の前のチェシャ猫は
狂っていないの。