─ Alice ?─
「ど、うして…?
なんで、チェシャ猫、普通に…」
「どうしたんだよ、アリス。
化け物でも見たような顔して。」
フッ、と軽く笑うチェシャ猫は
以前のチェシャ猫と一緒。
私の知る以前のチェシャ猫。
でも そんなはずはない。
チェシャ猫は 狂いに飲まれた。
きっと今頃、私を…アリスを求めてさ迷っている。
じゃあ、今、目の前にいるチェシャ猫は…
「素敵なアリス~私の忠告を思い出して~♪」
……。
「リーフたちの囁きに騙されないで~♪」
そうか!!
これは幻。リーフたちの見せる幻影。
私が以前のチェシャ猫を求めていたから、それを見せた。
「こんの…偽物!!!」
ドスッ
「ぐえっ…!」
…ぐえ?
幻、よね?幻が、ぐえ、なんて…
「さ、さすがアリス。意志は堅い、ということですね…うっ…」
今にも吐きそうな顔で
チェシャ猫もどきは座り込む。
「えっ…あの、貴方は…?」
「ああ、僕らはリーフ。」
僕ら?
不思議に思っていると、目の前のチェシャ猫もどきは弾けるようにバラバラになった。
「ひっ…!!」
弾けた体をよくよく見ると、
どこかで見たことある姿。
「…葉っぱ?」
「正解。僕らはリーフ。
皆で一つの個体。
決して一枚では生きていけない。
皆 で 一 つ 。」
サッ、と風に舞うリーフたちの姿は
とても神秘的で。
言葉の一つ一つが
とても胸に響く。
とても感動的なシーンなんだけど
だけど…
「素敵なアリス~♪私を見て~♪」
どっかの金髪ロン毛男のせいで台無しである。