─ Alice ?─
一体いつから後ろにいたのだろう。
さっき別れたばかりなのに…
一方的だけど!!
「素敵なアリス~危ないところでしたね~♪」
ご機嫌な様子でクルクルと回るスペードさん。
たしかにスペードさんの忠告で冷静に判断できた部分はある。
あるけれど…
「ふふっふふふふ~♪」
絶対お礼なんていってやらない!!
「リーフさんたちは何故私にチェシャ猫を見せたの?」
「僕らはこの森の守護を任されているんだ。
そしてアリスの見極めも、ね。」
私の、見極め?
「それって…どういう…」
知りたい。けれど、私の中の何かがそれを拒む。まだ知る必要はない、知らなくていい、と。
知らない方が良いこともある、と。
「知りたい?」
耳元で囁かれる甘い誘惑。
「いいえ。
知るべきときがきたら教えて。」
リーフたちはざわめく。
森中がざわざわと騒々しいほど。
「…なかなかしぶといなあ。」
つまらなさそうに呟く。
以前の私なら、きっと聞いていた。
でも、今は違う。
私は変わったの。強くなったの。
進まなくちゃ。
「クローバーさんはどこにいるの?」
ざわめきが止む。
不気味なほどの静寂。
「そっか…アリスはクローバーに会いにきてるのか。」
何か企んでいるような
意味深な言い方をするリーフたち。
嫌な予感がする。