─ Alice ?─




黒兎さんは消えた。




意味深な言葉を残して。





それと同時に頭に響く森の悲鳴。




枯れ果てた木々が鮮やかに赤く燃え上がり


生き物が我生きようともがき、苦しみ、悲鳴をあげる。




「あっ…──!!!」




頭の中に浮かんでくる光景はいつのものか


似た光景を見たことがある。



赤く燃えたぎる森の中、黒兎お兄さんが私を逃がし、森の中へ入っていく姿。私を助けに戻ってきた姿。あの時の黒兎さんは私の大好きな優しい黒兎お兄さんだった。



「わからないよ…黒兎お兄さん。」



優しい黒兎お兄さん。



ありすを守ってくれた黒兎お兄さん。



チェシャ猫を傷つけた黒兎お兄さん。


シロウサギさんを殺した黒兎お兄さん。




全部、同じ黒兎さんなのに結び付かない。




ねえ、どれが本当の貴方なの?




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