─ Alice ?─




「…行かなきゃ。」



体は勝手に動き出していた。


どこに行くかなんて分からない。ただ、体が勝手に動き出していた。




真っ赤な森の中、ただ闇雲に走り続けた。





そして、ふと思い出した記憶で出逢ったチェシャ猫の言葉。





「誰が悪い?」




ねえ、本当に悪い人は独りなの?


ただ、悪いことが巡りに巡ってこういく結末を迎えてしまっているだけなのかもしれないよ?



私はそう思っているよ。




いつの間にか足は止まっていた。


息は上がり、体がふらふらとするのを感じる。



いっそ、このまま森と一緒に消えてしまえたらどんなに楽だろうか。



目を閉じれば真っ暗な闇が広がり、嫌なことなんて何も見えなかった。




なのに




見覚えのあるシルエットが瞼に浮かぶ。








「…白、兎?」
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