─ Alice ?─



「最後の願い?ふん。所詮貴様のことだ。箱を開けろ、と言うのだろう?」



座っている箱を手で叩きながらビルさんは言う。




『アリスに真実を見極めて欲しいんだよ。だって、まだ全部を思い出したわけじゃない。全部思い出したら、チェシャ猫のことなんか…』



私を見る黒兎さんの瞳は怒りで満ちていた。



「また猫か。貴様はいつも猫を気にするな。


まあ良いだろう。


箱を開けよう。そしてアリスと黒兎に審判を…――」







ギイィィィイイィイ―――――――




鈍い音と共に開かれた箱。
その瞬間、眩い光が溢れ、裁判所は光で何も見えなくなった。



『さあアリス。真実を知るときが来た。ハートの代わりに僕が全てを見せてあげるよ。』
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