─ Alice ?─




「じゃあ黒兎が
捕まっているのって…」


─私のせい、なの…?



私のせいで
苦しむ人がいる。

私のせいで
狂う人がいる。


私がいるから ?



私が い な け れ ば ?





「アリス。
俺たちは元々
アリスを求める本能を
持っている。


もしアリスが
消えたとしても、
皆が狂うことに
変わりはない。

だから
しょうもないこと
ばっか考えるな。」




チェシャ猫なりの
励ましなのだろう。



心が 暖かい 。



「 ありがとう、チェシャ猫。」



思わず顔が綻ぶ。



そんな私たちの様子を
帽子屋さんが
複雑な表情を浮かべ
見ていることなど
気づかなかった。
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