─ Alice ?─



「そういえば、
その黒兎を
捕まえた人って誰なの?
チェシャ猫は前に
女王様に
捕らわれているって
いっていたけど…。」



2人の表情が強張る。



何かまずいこと
聞いちゃった…?



「いや、
女王に、というか…」


「女王のいる城に
捕らわれているのです。」



一緒じゃない?



どうして2人が
急によそよそしく
なったのか
私にはよくわからない。


「何か隠してるでしょ。」



いわゆる女の勘!
絶対に何か隠している!



2人をじとーっと
見つめていると、
困った表情で
帽子屋さんが話始めた。


「今は言えません。
その時期ではない。


今アリスがすべきことは
黒兎を助け、
皆の抑制を
守ることです。

そうしなければ、



私だって次は……。」




帽子屋さんは
唇を指でなぞり、
妖艶な笑みを浮かべ
私を見つめる。



「いち早く黒兎を
救出して参ります!!!」



危険を感じ
猛スピードで屋敷を
駆け抜けていく。



「おいッ…アリス!!」


後ろからチェシャ猫が
慌てて追ってくるが
待つはずない。



「アリス!チェシャ猫!


白薔薇の道は──。」






帽子屋さんが最後に
なにか言っていたが
走っている
私たちの耳には
ハッキリと
聞き取ることは
できなかった。
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