奇蹟のはじまり
だけど、もしかしたら聞

き間違いかと思い、もう

一度耳をすませました。

『そこで聞いてるんでし

ょ?入ってきたら?』

突然中から声をかけられ

とっさにどうしていいか

わからなくなりました。

『かず』

名前を呼ばれた途端懐か

しさがふわっと体全体を

包みこみました。

気付くと中からドアがあ

けられ目の前には

「やっぱり、潤くんなん

だね」

目の前の少年は口元に微

笑をたたえたまま、それ

には答えませんでした。

『聞いてたんでしょ?』

聞いてたと言ったって何

が何だかまだ状況が飲み

込めてません。
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