奇蹟のはじまり
薄紅色の袴を来た男の子



思わず手を伸ばして触れ

ようとしました。だけど

、すぐにこれは実体がな

いんだということを思い

出して伸ばしかけた手を

おろしました。

「翔くん」

自分の口から出たその名

前に驚きました。

知っている。確かに僕は

目の前の男の子を知って

いると思いました。

映写機はその後も延々と

フィルムを回すように映

像を写し続けていました



知っている。この光景も

ここに写しだされている

人たちも。

「そうか、これは昔の自

分の記憶なんだ」

そう、これは僕が生まれ

変わる前の記憶。
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