奇蹟のはじまり
一つ思い出すと今まで忘

れていたことが不思議な

くらい全てを鮮明に思い

出したのです。

そう、僕は昔ここで何十

年もこの街の人を見守っ

ていました。

思い出すと、涙がせきを

切ったように溢れ出して

きました。普段は滅多に

泣くことはないのに、こ

の時ばかりはどうしよう

もありませんでした。

翔くんがいなくなって間

もなく、僕はこの木に宿

る任務を終えました。任

務を終えた僕におてんと

う様は言ったのです。

『次は人間にならないか

?』

と。

「人間に?」

『人間と関わって、自分

でも人間になりたくなっ

たのではないか?』
< 125 / 127 >

この作品をシェア

pagetop