奇蹟のはじまり
それでも何を言っていい

か分からず黙っていると

奥様はかまわず続けまし

た。

『あの子を初めてこの腕

の中に抱きしめた時、小

さくって壊れてしまいそ

うで怖かったわ。だけど

、本当に可愛いくって仕

方なかった。一目見て、

すぐに養子にしようって

決めたの。本当のことを

言えば、雪乃さんに子供

が出来たと聞いたときは

嫉妬に狂いそうだった。

だけど、表面上は良家の

奥様として何でもないふ

りをしなくてはいけなか

ったのよね。雪乃さんの

お腹が大きくなっていく

のを間近で見ながら、心

の中はいつも煮えくり返

りそうだった』
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