奇蹟のはじまり
僕の知らないところで、

凄惨な殺戮や奪い合いが

行われてるなんて思って

もなかったのです。

『おまえさ、宮様の付き

人だったんだろ。何にも

知らないのな?』

「だった、じゃなくて今

もそうだよ!」

『じゃあ、何でこんな所

にいるんだよ?あまりの

馬鹿さ加減に愛想尽かさ

れてお役放免されたんだ

ろ』

「違うって言ってるだろ

!」

ある時、僕はそいつと大

喧嘩したことがありまし

た。

戦場は娯楽もなく、ひた

すら歩くだけの毎日を送

っていました。食べる物

も少なく、水も貴重でみ

んなの中に苛々がつのっ

ていた時ではあったので

す。
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