奇蹟のはじまり
同情的なそいつのため息

にも腹が立たなくなって

いました。

何も知らなかった自分が

情けなくて恥ずかしくな

りました。

『部隊長に報告してみろ

。今頃、銃剣で一突きだ



そいつは女の子に手を差

し出しました。

『怯えなくていいよ。僕

たちは君を殺したりしな

いから』

日本語でもその子に分か

るようゆっくり言った。

『シンジナイ。日本人は

ワタシノ家族ヲコロシタ



その子は瞳にいっぱいに

涙をためて言いました。

『本当に悪いことをした

と思っている。同じ日本

人として心から謝るよ。

本当にごめんよ』
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