奇蹟のはじまり
「どうして僕は生きてる

の…?」

母さんも死んだ、戦友も

死んだ、そして今度は仕

えている主まで失うかも

しれないのです。

いつまで経っても戦友の

笑顔が忘れられませんで

した。

僕は部屋の隅に置いてあ

った筆と紙を取りました



一枚は和也様に宛てて、

そして、もう一枚は―。

もう一枚は文机に置きま

したが、和也様への手紙

の置き場所に困りました

。見つかれば、警察に渡

り和也様には届かないか

もしれないと思ったので

す。

迷っていた僕の目が吸い

寄せられるように、部屋

の隅に置かれた箪笥に留

まりました。
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