偽りの仲、過去への決別
2人を洋二は見ていた。洋二はカズの様子を尋ねたかった。しかし松山に近づけずにいた。 結衣は席を立つと松山に声をかけた。「私もカズ君の病院に行くわ。いいでしょう。」
結衣は決意した。結衣はわざとクラスメイトに聞こえるように宣言した。 これでもう逃げることはできない。それに松山も断ることはできないはずだ。 洋二は焦っていた。自分だけ置いてきぼりになった気分であった。
松山の反応は冷たいものだった。 松山は結衣を無視した。今さら何を言っているのか興味もわかなかった。それに今ついて来てもらっても足手まといなだけであった。「怒っているのはわかっているわ。本当にごめんなさい。」 結衣は素直に謝った。
結衣自身人に頭を下げるのは店に食べに来てくれるお客様だけで、店以外では始めてだった。 松山も悪い気分ではなかった。「本当に行くの。担任教師に叱られてもいいのかよ。」 松山は結衣のことが好きであった。しかしカズと仲良くなる結衣を見て嫉妬の感情が生まていた。 2人とも今はカズのことが好きなのが共通点である。「怒られて関係ないわ。だから連れて行って。」 松山は考えていた。担任教師よりは結衣があの鬼婦長相手に怖がらず、取り乱すことがないか心配だった。 「正直言って凄く嫌な思いをするぞ。覚悟できているのか。」 松山は結衣の表情を見つめた。結衣は顔色ひとつ変えず決意の固さを松山は感じた。 「女が松山について来ても足手まといになるだけだろう。」 ヒロは言った。
「黙れヒロ。関係ないだろう。」 松山は言った。
松山は結衣と一緒に病院に行くことを決意した。 ヒロは松山のうんざりした顔を目の当たりにし、困惑な表情を浮かべていた。 でもまだ挽回のチャンスはあった。松山は、今はカズのことで手が一杯であるがカズのことが落ち着くとヒロにも耳を傾けるはずだと思った。
ここはあまり無駄な話しをして、松山の感情を逆撫でするより様子を見たほうが良い。 ヒロは何も言わずその場を去った。 洋二は結衣の決断力にしばらくの間、自分なりの考えと言葉を模索していた。
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