偽りの仲、過去への決別
「頼まれてなんかいないよ。でも友達が死にそうになっているのを無視なんかできるかよ。」 松山はヒロに詰め寄った。 ヒロは松山をこれ以上怒らせても仕方ないと思った。「そうかよ。わかったよ松山の気持ち。俺が悪かった許してくれ。」
ヒロの言葉に松山は冷静になった。 洋二は松山がいいようにヒロにコントロールされているみたいに見えた。 結衣はヒロを見た。一瞬ではあるが笑ったのである。気持ち悪さと何かよからぬことを考えているしか思えなかった。
洋二と結衣はヒロには絶対心を許してはいけないと感じた。 松山だけがまだヒロに心を許していた。ヒロは松山の心情の流れを機敏に感じとっていた。 「松山がそんなにカズのことが大切ならば、きっと俺のことなんて許せないよな。だって俺の兄弟が……。」
松山はヒロの悲しげな態度に同情してしまいそうであった。 「とにかくお前はカズの見舞いに来るなよ。」 洋二はヒロと松山の話しを遮った。 これ以上松山がヒロにいいように操られることが許せなかった。
ヒロは洋二と結衣が邪魔でしょうがなかった。どうにかしてこの2人を引き離さなければならない。「いつからお前ら松山と仲良くなったんだよ。偉そうにしやがって。」 ヒロは洋二の弱みを探していた。
しかし洋二は町の有力者の息子で簡単に手を出せる人間ではなかった。「俺と松山はクラスメートだし、それにカズを介して友達だよ。」 洋二は強気になっていた。「それにお前なんかカズと仲良くないじゃないか。」 ヒロは黙ってしまった。
「もういいじゃないか洋二。」 松山はヒロを擁護した。 ヒロはありがたかった。これでまだ松山の心が少しでもこちらにむいている。挽回のチャンスは充分残されていることがわかった。「今日は諦めるけど松山、俺と2人で見舞いに行こう。
最初からこいらと一緒に行こうなんて思っていないし。」 ヒロは洋二を凄い形相で睨みつけた。 ヒロは自分の教室に戻って行った。 洋二は腹が立ってしょうがなかった。「おい松山、あんな奴と一緒に行かないよな。カズの所に。」
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