偽りの仲、過去への決別
「そうか、でも一応様子を見ておきたいんだ。」 ヒロは必死に食い下がった。「考えてみろよ。お前の兄貴達がカズをあんな目に合わせたんだろう。よくそれでカズに会いたいなんて言えるなあ。」 洋二にはわからなかった。なぜこんなことを平然と言えるのだろうか。
「だって俺の兄貴達がカズに暴力振るったかどうかなんてわからないじゃないか。うちの兄貴達も怪我して入院しているんだから。」 松山も洋二も結衣も驚いた。周りで話しを聞いていたクラスメート達もざわめいた。 ヒロがカズの今回の事件に対して反省どころか被害者の立場を持っていることに。「だって警察はうちの兄貴達がカズに先に暴力を振るったなんて言ってないし、勝手に噂だけが先行して、兄貴達が悪いと一方的に言われるし。事実兄貴達はもう学校に通っているんだぜ。」
ヒロはここで自分達がいかに被害者に近い立場にいることをアピールしようと心掛けていた。 ヒロ達兄弟はどんな事実が出てこようと嘘をつくことに決めていた。カズの件に関しては、絶対認めないことにしていた。今までのかつあげと違い兄貴達も傷ついたからだ。
他のかつあげは少しは認めてもカズの件だけは認めないことを兄弟で約束をしていた。カズの件を認めてしまうと、かつあげの容疑たけでは済まされず、暴力事件になり、かつあげどころの罪ではなくなるからであった。 しかし警察はヒロ達兄弟を諦めたわけではなかった。
ただまだ未成年で十分な証拠をつかんでから追及しようとしていただけだ。それにかつあげの被害届がでているが警察にはヒロ達兄弟がやったとは確証してはいなかった。 ヒロ達兄弟はかつあげだけの罪ならば対した罪になるとは思っていなかった。
しかしカズの暴力事件だけは話しが違ってくることをヒロ達兄弟は警戒感を持っていた。 「よくそんなことが言えるなあ。」 松山は不快感を表していた。 「松山はいつからカズの肩をそんなに持つようになったんだよ。おかしいじゃないか、喧嘩していたのに必死に見舞いに行って。大体カズに頼まれたのかよ、病院に来てくれって。」 ヒロは松山の近頃の行動が許せなかった。カズと喧嘩していつもいたのは自分だったのに。
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