勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
眠りから覚めた時、私は佐和さんの腕に包まれたままだった。
目の前には佐和さんの胸。
その胸に顔を埋めたまま目覚めた私は、眠る前のことを思い出して急に恥ずかしくなった。
私を体を労りながらも揺らす佐和さん。
彼の唇から漏れる熱い吐息
額から落ちる汗がキラリと光を放ち私の肌を滑り落ちる
クラクラとするほど甘い時間
そして、優しくも情熱的な熱い時間だった。
昨夜の佐和さんを思い出しながら体が熱を持つ私は、おかしいのかな?
それとも、みんな同じ?
初めての事だからわからないことばかり。
熱に浮かされながら、チクリと胸に何かが刺さった。
すやすやと息を立てて眠る佐和さんの胸にぎゅっとしがみつく。
幸せな気持ちに落ちてくる影。
迫る恐怖に体が震えだした。
幸せだから?
幸せすぎるから?
止めなければ…
幸せにどっぷりと浸かりたいと思う私と、ここへ来た本来の目的に挟まれて心が身動き出来ない。
紫衣――…。
ねぇ、お姉ちゃん。
あなたは幸せですか?
お兄ちゃんに愛されて、幸せですか?