雪情
【カモシカー4】


そんな中、
小川だけは真剣に
周りを警戒している。





やはり
雪男を見た恐怖だけ
あって、

慎重に
周りを眺めている。





何となくだが、
この辺りには
雪男がいないことを
小川は感じていた。





あの嫌な予感と重圧感、

荻原が殺された時に
感じたそれが
今は感じなかった。





かといって
気をゆるめることは
できないし、

油断大敵と言うのも
あるので
真剣に歩いていた。





「小川さん……
汗凄いですよ?」






大久保が後ろを振り向き

小川に言葉を掛けた。






「いや、大丈夫だ…」






「具合悪いのでしたら
無理せず
言ってくださいね」





「ああ……」






「………」







はたから見たら
具合が悪そうに見えるが

真剣過ぎて
つい汗をかいたので
あった。






恋人のためと言え、
これはまさに
命がけなのである。






その当本人川上は、
今頃何も知らずに
離れの小屋にいるだろう



が、いくら
銃を持っていても

川上は女の子である。






一人で何も言わずに
置いてきて
よかったのだろうかと、
白井も少し気には
なっていた。






「家誰もいなくて
大丈夫か?」






白井は
そこまで心配ではないが

とりあえずそう言った。






「ただ待っていたら
相手の思うツボだ。

狙われるより
ワシ達が出向いた方が
逆にいいだろう」






「でもよ……」
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