雪情
【カモシカー14】


小川は
半ば興奮気味である。





「ってことは………
ヤツは今
この近くにいるのかね?」






辺りに静けさが漂う。






緊張と恐怖で、
誰一人として
動けはしなかった。






この辺りに雪男が潜んで

自分達を狙っているの
かもしれないと思うと、

身がすくんで
仕方がない。






しかし、
いつまでもこうしている
ワケにはいかないので
ある。






「今だからこそ
皆さん慎重に

この近辺を
捜索しましょう」






田崎は
皆に少し小声で
指示を出した。






こうして
指示をくれた方が
人は動きやすいのを
田崎は知っていたからに
違いないだろう。






皆で
慎重に辺りを探り始めた






白井は
カモシカの死骸から
遠ざけるように

林の中に入って行った。






「まったく
この近くに
雪男が潜んでいるかも
しれないなら、

俺らの安全を
考えてほしいよな」





そう言いながらも、
暗い林の中に
踏み入れようとした。






すると、
林に一歩足を踏み入れた
白井は、

いきなり足をとられた!






「うわ!!!」






ズボ!っと雪に埋もれて

バランスを崩した白井は

斜面を滑り落ちて
しまった。






ドスン!






「う……いてえ………」






と白井の体は
すぐに滑るのを止めた。






そんなに
急な崖ではない上、

高さも
そんなになかったので
あった。







白井は
ゆっくりと体を起こし
目の前を見た。






すると



「あ………」






と一言呟いた。






白井の目の前には………
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