雪情
【カモシカー13】


すかさず田崎は
言葉を返した。






「冗談はよくないぞ白井

そんなカモシカの
見分けがつくはず
ないだろう?

しかも
さっきのはチラっとしか
見ていないカモシカを…」






「いや、間違いない。

この模様に
この大きさ。

これは
さっきのカモシカだ」





白井の言っていることは
本当であった。






早く帰りたいから
嘘を付いている
訳ではない。






「私もそう思いますね。

これは
先程のカモシカですよ」






と大久保までも
言い出した。







「この山に
カモシカはたくさん
いるんじゃないのかね?」







「いえ、
だいたいこの場所に
カモシカと言うのも
珍しいものですから…

やはり
これは先程見た
カモシカと言っても
いいでしょう」






大久保がそう言うと、
小川が時計を見ながら



「おい、
あれから30分位しか
経ってねえんだぞ!!」
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