雪情
【外からの威圧感ー4】


「う…」





小川のその言葉に、
白井が近付いた。





「また
さっきみたいに
寝るなよ~

さあ起きろ」





「こら静かにせい」





白井を静め、
田崎はジッと見守る。





すると
小川の目が
ゆっくりと開いた。





そのまま天井を
ボーっと見つめ、

ゆっくりと一言呟いた。





「ここは?」





「気付かれましたか
小川さん」





田崎の言葉に
小川は体を起こした。





「う…頭いてえ。
なんだこれは?」





小川が動く度に、
バリバリと音がした。





体に巻きつかれた
ラップの音である。





「なんで俺の体に
ラップが巻きついて
いるんだよ」




その疑問に
大久保が答えてあげた。




「それは
白井さんの案で、

小川さんを保温する為に
サランラップを
巻いたのですよ」




「……保温?

そうか
俺は凍り付いちまう
直前だったんだ……」




そこに
田崎がズイっと
詰め寄る。




「それで小川さん、
一体何があったの
ですかな?

そんな
手袋もナシで…」




「ああ、
走り逃げている途中で
落としたみたいだな」




「逃げる?

誰かに追われたの
ですかな?」




すると小川は
田崎に対して手を開いた




「う……ちょっと待て。

まだ頭がクラクラする…

…少し
一呼吸おかせてくれ」




「分かりました」




小川の為に、
田崎は台所まで
お湯を取りに行った。




それをお椀に入れ、
小川に差し出した。




「暖かい飲み物は、
ただのお湯しか
ありませんが、

これでも飲んで
落ち着いてください」




小川は言われるがまま、

それを暖かそうに
飲んでいった
< 202 / 284 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop