雪情
【雪情ー11】


空は嘘のように晴れ、
頂上から見る景色は
まさに絶景。






こんな清々しい気持ちは
久しぶりである。






何人もの人が亡くなった
この山が、
いやに綺麗に見えた。






「雪男の伝説か…」





田崎はポツリと呟き、
それを尻目に
二人は山を下って行った






また一歩一歩進いてゆく





二人は前だけを
見つめながら……






………





………?






歩く事数十分、

目の前に
街が見え始めてきた。





もう大分、
山の麓まで
来たようである。






この見慣れた街の景色が

とても懐かしく思えた。






「お、
あそこに人がいるな」





白井が言うと
森の奥に道路が見え、
そこに人が立っていた。






「本当かね?
おお、
確かに人がいるな。
ってあれは……」






よく見てみると、
それは田崎の知っている
人物であった。






それは、
内藤と山本である。





彼らは
山から降りてくる田崎を
見ると、

一目散に駆け出してきた





「田崎さん!!
無事でしたか?」





内藤が心配そうに
田崎に話すと、

白井は
パッと田崎の肩を離れた





「お前さん達
どうしてここに……?」





「田崎さんが
署に戻られないので、
迎えに来たのですよ」





それにしては、
ここから降りて来るのを
よく分かったものだ。





「どうしてここが
分かったのかね?」





すると内藤は、
村の方に指を指して
答えた。






「一度は村に行ったの
ですが、
途中雪崩で
通行止めでしたよ。

村からも
戻る手段がないので、
田崎さんの性格上
この山を登って来ると
思ったのですよ」
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