比丘尼の残夢【完】
あまりの驚きで、悪くもない心臓が口から飛び出そうっ。

そして何でしょう、胸のこのこそばゆさ... 。


「ぷっ、ぷはぁっ!!」

息をするのを忘れていました。

思わず顔を背けて目を見開きぜえぜえと息をついていると、私の寝巻の合わせの間から、そっと手が抜かれた。


あの快感は、胸まで触られていたとは気が付かなかった!


「... 美味かったか」

ご主人様はぺろりと抜いたばかりの指を舐め、今まで見たことのない顔で、笑った。


「く、薬の、味がしましたっ... 」

求められている感想はそれではないとわかるのだが、頭が混乱してそんな言葉しか出てこない。


ご主人様はポカンとした。


「あのっ、さっき! 飲んでくだせえって... 私が... 」

言ったから、飲んでくれて有難うございますと言いたいだけなのだが。


「飲んだよ。お前さんの看病は誰がするんだ」
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