君とアタシのkiss☆

ただ。


あたしは、ミイナちゃんがヤス先輩の彼女かなんて
聞けなかった。

そのとき、リョウジもグランドに来るところだった。

「ホノ・・・?なんでここに?」

「えっ!?」

あたしは、ミイナちゃんに支えられていた手をはなした。

リョウジは、あたしがミイナちゃんと話しているのが不審に思って、あたしをミイナちゃんからはなした。

「あっ、リョウジ君。ごめんなさいね。彼女さんと話しちゃって。」

「や、そんなんじゃないです。コイツはただの幼なじみって言ってるじゃないですか。」

「まぁ、そう照れるな。」

ヤス先輩の声だった。
もしかして、ヤス先輩もリョウジと付き合っていると思ったのかな?

「リョウジ、まさか振られたか?」
「おい、ヤス。もういいだろ。」

リョウジがあたしを、かばうように肩にかけた。
「ラブラブだろ?」
「だから、コイツが好きなのは、てめっ・・・。」

あたしは、リョウジの口を押さえた。

「言わないで。」

あたしは、いつの間にか
泣いているようだった。

リョウジはとっさに体が動いた。

・・・ぎゅっ

「え・・・?」

あたしは、リョウジに抱きしめられた。


それを、愛しく見届けようとする
ミイナとヤス。

「お・・・お二人さん。」

少し嬉しそうにミイナちゃんが最初に口を開いた。
それを、無視するかのようにリョウジは
あたしにキスを要求した。


「ちょ、待って!みんなが見てる!!」

あたしは、キスのことを否定するようなことはあえて言わなかった。

だって、ヤス先輩に彼女がいるのに
好きなんて言えないし。
言わないし。
言ったところで
意味がない。


あたしは、諦めるよ。

「やべ、ミイナより可愛い子見つけちゃった。」

ヤス先輩がふいに口に出した。
リョウジは呆然として、動きを止め、ヤスのことを見つめた。
ミイナも、ポカンとしてヤスのことを見つめた。

「え!?俺なんか、変なこと言った??」

ふっ・・・
とみんな笑った。





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