Painful Love※修正完了※
「それ……拓斗には?」
「言うつもり無いです」
きっぱり答えた時雨さん。
また、拓斗に言わないで出ていってしまうの?
ずっと、ずっと探し続けて。
やっと、会えたのにまた。
何も言わずに、拓斗の前からまた消えてしまうの?
……時雨さんがいなくなってくれることは、
正直に考えれば嬉しい。
嬉しい、はずなのに……。
拓斗のこれまでのことを考えると、素直に喜べない。
「あ、そうだ……一つだけ、お願いしても良いですか?」
真っすぐに話を続けてくる時雨さんに
何を言われるのだろうと内心不安になる。
はい、と頷けば、笑う時雨さん。
「……拓斗は、昔から私の父との約束を果たさなきゃ、って必死でした。人一倍、責任感があるんです。
そのせいで自分の事を顧みず無茶したり……頼られるとそれに応えなきゃって頑張っちゃう人なんです。辛くても誰にも言わないから、気付いてあげて下さい」
ずっと一緒にいたからこそ拓斗の事を的確に言える時雨さん。
「あ、でも。わたしが心配しなくても佐奈子さんは良く拓斗を見てるからきっとすぐに気付いちゃいますよね。……偉そうに言っちゃって、すみませんでした」
ニコっとちゃかすように笑う。
……頼りにされると応えなきゃって頑張っちゃう人。
私は拓斗に今まで何回頼りにしてしまったのだろう。
『必要としてる』その言葉を何回も拓斗に言ってきた。
拓斗が時雨さんの事を好きだって知っていて。
その言葉に責任を感じた拓斗は、私を傍に置いてくれた。