Painful Love※修正完了※
「あれ、拓斗君来てるの?」
上がろうと足元へ視線を向けた叔母さん。
男物の靴を見て、
すぐに“拓斗”だって断定出来る事にやっぱり笑ってしまうけど。
「うん。久しぶりに、ね」
「そっか」
叔母さんはニッコリ笑うと袋を持ってリビングへ早足で歩いていく。
袋、重たいもんなぁ……。
私も手伝って袋を持って後ろから向かう。
「久しぶり、拓斗君」
「…お邪魔してます」
袋を持って笑顔を向ける叔母さんに、拓斗も笑顔で応える。
「荷物……多いですね」
重かったでしょ?そう言う拓斗に叔母さんは持っている袋を少し上に上げながら
「時雨ちゃんがまだしばらく居てくれるからね、美味しいもの沢山食べて貰おうと思って!
一人暮らしだと、栄養も偏っちゃうでしょう?だから今だけでも……」
拓斗は黙って頷く。
「あ、そうだ。お昼、拓斗君も食べてく?すぐに用意するから」
叔母さんは慌しくキッチンへと向かい、
袋を持ったままのわたしも中の物を冷蔵庫に入れようとキッチンへ。
「嫌……俺は良いです、もう帰りますから」
「え?」
ガタッと椅子を引く音がして、拓斗の方を見るわたしと叔母さん。
拓斗は立ち上がっていて、わたし達を見て笑みを浮かべる。
「久しぶりなんですから、時雨も叔母さんと二人で話したい事が沢山あると思いますし……お邪魔しちゃ悪いんで。それでは」
……拓斗は軽く叔母さんに頭を下げると、
そのまま玄関へと向かう。
ほら、そういう、わたしの事をちゃんと考えてくれる所。