Painful Love※修正完了※
その優しさが、胸の内にたまっていくの。
「お邪魔しました」
「気にしなくて良いのにね……」
玄関から拓斗の声が聞こえた後、
叔母さんは一度止めていた手を再び動かしながら呟いた。
「時雨ちゃんも分かってると思うけれど、ずっと拓斗君、時雨ちゃんに会いたがってたのよ」
「……はい」
「何回も、引っ越し先教えてくれって頭下げてねぇ……何度教えてあげたいと思ったか」
……何回も。
「今だって久しぶりだからお話したいのは拓斗君の方でしょうに。なんだか、私の方がお邪魔しちゃったわね」
「いえ、そんな……」
―――確かに。
話は終わってなかったし、拓斗だってまだ納得してない顔してたのに。
わたしと叔母さんの事を考えて引いてくれて……
「おばさん、やっぱり下まで見送ってくる……!」
叔母さんに告げて、拓斗の後を追う。
これで、本当にもう最後だから。
会う事も……無いから。
後悔しないように。
拓斗にも心残りが無いように。
パンプスに足を通して体当たりをするようにドアを開ければ、
エレベーターの前に立った拓斗が驚いたようにこっちを見る。