「金剛戦士Ⅱ」西方浄土
被害を受ける前は五万人以上いた人口を維持するのも難しく、地球に帰還した者もいて、人口は減少していた。

本来、火星開発当初の計画であれば、人口は増え続けていて、数年後には十万人を遥かに超えている筈であったのであるが、現在の状況では、計画は、かなり先延ばしになるのを、余儀なくされるであろう。

地球連合としても、もっと火星の復興を急ぎたかったのであるが、無機物生命体により地球上の施設や兵器なども相当なる損害を被っており、そちらの復旧が優先されたのであった。

地球上の被害を受けた施設は、復旧が完了し、兵器の生産も順調に軌道に乗り出し、地球の乱れた隙を突いて、暴徒化する集団や民族も無くは無かったが、あまり大きな事態に発展することも無く、兵器の生産が始まり、投入されると、すぐに沈静化した。

一時的には平和維持軍が大損害を受け、危機的な状況にあったが、無謀な民族や集団が多数現れることもなく助かった。

地球文明の安定が確保でき、人類の安心が担保できるようになり、これからは火星の復旧に力を注ごうと、今回の合同調査隊の派遣となったのである。

直は火星の上空と地上から、火星内部の探査を行い、有望な鉱脈も発見した。

詳しい解析はデーターを送った地球本部が開始しており、実際に調査した直も地球に帰還次第、データー分析に加わることになっているが、かなり期待が持てそうであった。

郁江も火星の地殻や大気や自然条件のデーターを集めて、それに適した知能ロボットの開発に役立てようと努力していた。
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