「金剛戦士Ⅱ」西方浄土
地球防衛計画
直と郁江は昨年の五月に結婚をした後、二人とも、それぞれが持っている仕事をこなしながら生活をしていた。

直は太陽系の物理学に詳しくて、惑星や衛星の地質や地学にも精通している。

結婚後、年末までは、日本の科学技術省の研究機関で仕事をしていたが、無機物生命体により多大な損害を被った火星へ、復興と発展を目的として向かう各国の、あらゆる分野の専門家による合同調査隊の一員に選ばれて、同行することになった。

郁江は直と同じように科学技術省系の研究機関で、最先端知能ロボットを開発する開発チームの一員として作業をしていたが、火星など惑星や衛星での鉱脈の発見や鉱山の開発用のロボットとか、今まで火星で使用されていた建設用ロボットよりも、遥かにスピーディで効率的に作業可能な知能型建設ロボットを造る必要に迫られて、直と一緒に火星に派遣されることとなった。

二人は、年明け早々に、南九州の宇宙船発射センターから、他の日本人科学者や韓国、フィリピン人科学者や医師と共に、新型調査船に乗り込み火星に向かった。

新型調査船は、それまでの調査船よりも速度が速くて大型となり、定員もそれまでの七名から八名ないし九名となり、小型の二人乗りや無人の探査機も積み込まれている。

また調査船に何らかの被害を及ぼす物体が近づいて来た時に、対処できるように、攻撃用の小型の電子ビーム砲も備わっている。

世界中の各国から、火星に向けて、同時期に新型調査船がアメリカ、ブラジル、オーストラリア、中国、インド、ロシア、フランス、スペインから打ち上げられて、派遣される合同調査隊の人数は、パイロットや医師も含めると総勢八十余名となった。


その頃、火星は大被害からの復興を急いでいたが、あまりにも損害が大きくて、被害全体の五割程度しか、復旧できていなかった。
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