アクアマリンの秘密
「本当にバカだ…。
今更後悔したって遅いのに…。」



あの時、燈龍に『生きろ』と言われて…内心ホッとしている自分がいた。
どんなに綺麗事を並べたって、オレには命を捨てる覚悟なんてなかったんだ。
燈龍の命とオレの命。
比べなくたって重さが違うことは分かっていた。
国のみんながどっちの命を大切に思うかだって分かってた。
あの場でオレが自分の命と引き換えに魔法を使えば…
今のように牢獄に囚われるような辱めを受けることもなかった。

分かってたんだ。全て。

あの時、燈龍を助けないということがどういうことなのかも…全て。

それでもオレは…




「捨てられなかった…臆病者だ。」




だから…椿様に対して、理不尽だとかそういう感情は全く湧いてこない。
椿様のお怒りはもっともだ。
オレの不注意さが燈龍の死を招いた。
そしてその傷を癒さなかった。
ヒールの使い手なのに…。



あの日の椿様の目も、燈龍の声も…
まるで昨日のことのように覚えている。
きっと一生忘れることなんて出来ないだろう。



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