アクアマリンの秘密
あたしは涙が次々と零れ落ちる目を拭った。
だけど拭っても拭っても拭いきれないほど、涙が零れていく。

どうしようもない気持ちだった。
切ない、哀しい、苦しい…
全て辛い気持ちだけど、嫌ではない。
痛みが今は必要、そんな気がした。



ふっとあたしの頭の上に大きい紫紀さんの手が置かれる。
そしてポンポンと軽く撫でてくれる。


「お前は…本当によく似ている。華央に。」

「え?」

「無鉄砲なところも、自分で決めたらどんな危険なことでもやり遂げてしまうところも…
その涙も…とても似ている。
…だからまだ…死ねないな、俺は。」

「え?死ねないってどういう…。」

「華央を終わらせた時に、俺も一緒に死のうと思った。
もう…耐えられない。華央のいない世界なんて。
だが…華央に止められた。
もう俺は新しい時間を進んでいる、新しい仲間と。そう言われた。」

「新しい仲間…。」

「…俺は今度こそ守る。華央を救ってくれたお前を、全力で。」

「…紫紀…さんっ…。」



もうあたしの体に残る魔力が少ないからなのか、紫紀さんの手からちゃんとした感情は聞こえてこない。
だけど優しくて温かい心の声だけはしっかりと聞こえてきて、それにどこか安心した。
だから…


「星来っ!!」



< 280 / 678 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop