アクアマリンの秘密

哀しいだけなら

* * *



「条件付けられた愛は愛とは呼ばないわ、セリユ。」


私の意識は現実世界に返ってきた。
氷泡星来の声が耳元で何とも言えぬ柔らかさを持ちながら響く。


蓋をしていた記憶が、まるで昨日のことのように思い出される。
それも…とても正確に。


私は彼女と距離を取った。




「…華央にも同じ魔法を使ったな。」

「ええ。記憶を呼び起こしたのよ。
歪んだ想いの始まりを見つけるためにね。」

「それで…お前の言う『歪んだ想い』の始まりを見つけることが出来たのか?」







分かったのならば教えてほしい。
私には分からない。

今の想いが歪んでしまったものなのかさえ…何も。
むしろ…私には『想い』なんてものが存在するのかということですら謎だ。

私は…何も持っていないはずだ。
この身しか。
役に立つものはこの身一つ。

…それ以外の私は無に等しい。



むしろ…


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