アクアマリンの秘密
「記憶…戻ったばかりだけど…
もうさよならすることになっちゃうかも。」


あたしはそう呟いた。
でもそれは哀しいことなんかじゃない。
あたしの記憶一つでみんなを救えるのなら…。




「…勝手なことして、怒る…よね…。みんな…。」




蒼刃の怒る顔が目に浮かぶ。

あたしは…魔法を使った後にどうなるんだろう?
気を失うのかな?
そもそも…成功するかどうかも分からないけど。




「…蒼刃を見ても…きっと蒼刃だって分からなくなっちゃうんだ…あたし…。」




蒼刃に向かって、『あなた…誰?』なんて言ってしまうのかな?
こうしてみんなで作った思い出が、あたしの中ではゼロになる。
いっぱい笑ったことも、いっぱい泣いたことも…全部…消えてしまう。

消えて…しまう…。





堪え切れない涙が零れ落ちる。
…泣いてる場合じゃないって分かってるのに。

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