恋色の紙ヒコーキ
「おはよ、はる。」

「陽っ!!」

「え?なんで朝からそんな泣きそうな顔してるの?」

「だってぇ…引退試合…。
なんで会場遠いって言ってくれなかったの?」

「え?言ってなかったっけ?」

「言ってないっ!!」

「ごめんごめん…
でも、会場遠くても、はるがちゃんと応援しててくれるってこと知ってるし、俺も応援してるし。」

「それはそうなんだけどっ!!でも…。」

「はるはちゃんとはるの試合に集中しな?俺も俺の試合に集中するから。
それがお互いにとって一番いいことでしょ?」

「そう…だけど…。」


ここまで言いくるめられると、もう何も言えない。
最後だから絶対見に行きたかったけど…
でもこう言われると、お互いにとって一番良いのは確かにお互いがベストを尽くすってことだって気付く。


「総体まであと1週間だし…怪我しない程度に練習頑張ろうね、はる。」

「うん…。」

「やっぱり陽くんは大人ねぇ…考え方とか。
はるなんて全然お子ちゃま~。」

「梨絵っ!!それひどくない!?」

「そう?ホントのことだと思うけど?」

「もーっ!!バカバカ!!梨絵のバカ!!」

「はいはい。」

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