君しかいらない

知也が電話を切ろうとした瞬間

真琴の言葉が脳裏に蘇った。


−姉さん幸せになって−


その言葉が私の背中を後押ししたんだ。

「話したい事があるの…」

声は今すぐにでも泣き出してしまいそうなほどに震えていた。

『何?』

少し戸惑いがちな声が耳元をくすぐる。

「会って…話しがしたい。」


その言葉を言ったすぐ後は緊張のあまり喉を鳴らして息を飲んだ。

『分かった。今…行く。』


あまりにも優しい彼の声には一瞬の迷いも見せずに


ただ


包み込まれてしまいそうなほど心地好い温度となって


私の震える心を優しく抱き寄せたように思えた。


< 957 / 1,001 >

この作品をシェア

pagetop