地味子の秘密 其の四 VSかごめかごめ
――陸Side――

俺の制服のシャツを握りしめたまま眠る杏を、静かにベッドへ寝かせる。

頬には、散々泣いた跡があった。

指先で雫を拭い取り、瞼に口づけをする。


「さすが杏。泣き疲れて、すぐに寝る……昔から変わんねぇな」


泣いて、すっきりしたのか…穏やか顔して眠る杏に、笑みを零した。

風邪を引かないように…タオルケットをかける。

部屋の明かりを消して、リビングへ向かった。



リビングには、すでにメシを食ってきたのか…東雲の生徒会メンバーが揃っている。

朝比奈と安斎の令嬢2人が、コーヒーを入れているらしかった。


「どうぞ、座って?」


キッチンから、人数分のカップをトレーに乗せて、朝比奈がやって来る。

勧められたソファーに、腰を下ろした。
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