君の瞳が愛をささやく
誰もいないロビーのソファーに座って呆然と天井を見つめていた。


「陸兄…」


戸惑う表情の臣が俺を見下ろしていた。


「どうしてここに?」


隣には心配そうに俺を見つめる澪ちゃんが立っていた。


俺は二人の後を着いて来た事を話した。


「…莉緒…どうしたの?」


「…白血病なんだ。」


白血病…


血液のガン。


医者を目指していた莉緒がどうして白血病なんかに…


「今は抗がん剤と放射線治療でなんとかなってるけど…
家族は誰も骨髄が合わなかったんだ…」


臣は呟くように言うと、向かいのソファーに座った。


「姉さんが…病気の事は知らせないで欲しいって…
留学って事にして欲しいって…」
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