鏡村【短編】
笑っている。


鏡の中の私が。


そんなはずはないのに。


どちらかと言えば、恐怖で怯えて、それで居て不安で、笑える筈がない。


今の私は無表情に近い顔。


他の鏡には笑った私の顔。


そうか。


今の本当の自分を映し出す鏡を探せばいい。


絶対に一つだけ在るはず。


でも、既にその鏡が割られていたとしたら?


そしたら…


私はここに閉じ込められる。


時間は無かった。


鏡はどんどん破壊されていく。


時計の針も重なったら終わりだ。


日が落ち掛けていた。


何よりも、暗くなってしまったら私を探すことも出来なくなってしまう。


鏡に映る為には光が必要。


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