鏡村【短編】
そこには今の自分の姿があった。


今の私の顔。


これで助かる。


そんな希望が見えた玲に声が刺さった。


「なんだ、みつけちゃったんだ」


鏡に男の子が映っていた。


「ねえー帰るなんて出来ないよ、お姉ちゃんはずっと此処で僕と遊ぶんだから」


「どうして……助けてくれたんじゃなかったの?」


ニヤリと男の子は笑う。


男の子の豹変ぶりに玲は戸惑った。


早くここから逃げないと。


鏡を見つけたのに帰る方法がわからない。


刃物を持った男はもうそこまで追いついて来ていた。


玲は鏡を背に後退りする。


手の感覚だけを頼りに鏡に触れた。



.
< 28 / 32 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop