ADULT CHILDREN
駅前に着くと、けんちゃんはハンドルから手を放してまた謝る。


「本当にごめんね」


「いいよ、いつもの事だし!」


「怒った?」


「別に!」


「じゃあ今日はこれで許して?」


けんちゃん膨れっつらの紗枝に1万円札を3枚差し出した。


「それからこれはお詫びの分。二人で何か美味しい物でも食べて」


そう言ってまた別にもう1枚、1万円札を差し出す。


「わかった!じゃぁ今度はちゃんと時間作ってよ!?」


「うん」


「じゃあね!」



歩道側にいる紗枝がドアを開けると私も続いて腰をずらした。


「またね」


斜め後ろにいるけんちゃんに
また軽く頭を下げて車を降りた。

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