ADULT CHILDREN
それなのに、父はその後信じられない行動に出る。


一緒に来ていた誕生日でもない弟に欲しがっていた玩具を与えたのだ。


欲しかった玩具を両手に抱え喜ぶ弟を見る事にはさすがに胸を傷めた。


家に帰って父が母に私が何も買わなかった事を伝えると母は私を褒めた。


初めてあんなに褒められたかもしれない。


そして弟に優しい口調で呆れながらも笑顔を見せて言う。


「お姉ちゃんの誕生日なんだからだめでしょう?しょうがない子ね。」




私の気持ちはいつも一方通行で、伝わらない。


小学5年生、6年生になってもそれは同じ。

母も父も変わらない。

気付かない。


次第に二人に対しての
私の「期待」は色褪せていった。
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