ADULT CHILDREN
いつもと何も変わらない朝のバイトでの事だった。
完全に消えたと思っていた炎は、私の知らない場所で煙をたてていた。
レジ前でレジチェックをしていると出勤してきたチーフが現れ普段通り挨拶をした。
「大丈夫?」
チーフは挨拶もそっちのけで私の肩にそっと手を当てた。
「え?何がですか?」
思い当たる事がなく聞き返すと思いもよらぬ答えが返ってきた。
「大変だったでしょう。相談してくれたらよかったのに。淳くんと志田さん、結婚してお子さんが生まれたんだってね」
私は淳と別れた事は言っていたが、志田ちゃんと淳の関係の事や別れた理由までは誰にも話していなかった。
「あ…まぁちょっと色々あったんで…」
誰がそんな事――――――――
―――――――もう1年以上も前の事なのに
過ぎ去った事を引きずり出されるのは、ただでさえ気持ちの良い事ではないのに、それはその時だけでは終わってくれなかった。