ADULT CHILDREN
どんなに嬉しい事があっても
それが家庭に何の変化を齎すわけではない。

母は相変わらずで
借金の事件以来変わった事と言えば父が夕方家に帰ってくるようになった事と、夕食のおかずが一品になった事くらいだ。


ご飯は一杯まで。


「あんた達には迷惑かけない」


なんて母は言っていたけど、中学生で食べ盛りの私や弟にはそれが結構辛かった。


彼氏ができたばかりの私は
毎日学校に行く事でそんな辛さを紛らわせていた。


それもたった７日間だけだったけど。


付き合い初めて７日目。


いつもの時間に彼氏からの電話が家に鳴り響く。


待ち侘びていた電話に喜び受話器を取った。


「もしもし…」


受話器越しの彼の声は心なしか元気がないように聞こえる。


「あのさ…」


しばらくして彼が切り出したのは別れだった。



あまりにも早過ぎる別れに唖然とした。

これから沢山楽しい事があると期待していた矢先に降り懸かるのはただの別れではなかった。


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