ADULT CHILDREN
口にしてすぐ喉の奥が熱くなった。



ツンとした表情とは裏腹に、内心何を言っているんだと自分を攻めていた。





しかし、返ってきた言葉は想像と反するものだった。



「俺、普通の家庭で育ってないよ。」



「は?」



「俺、小さい時母親に捨てられて父親と義母に育てられたんだ」



「…え」



予想に反した答えに言葉が見つからず黙り込んでしまった。



「父親からは殴られる事が日課だった。義母からは給食費は払って貰えないわ、修学旅行は行かせて貰えないわ。家に居ても飯も貰えなかったよ。」



「…それ、本当なの?」



「嘘つくわけないでしょ」



「…まぁそうだけど」



躊躇う私の言葉を待たず佐藤さんは話始めた。

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