ADULT CHILDREN

「やっぱり何かあったんだ」



納得したようなため息をはくと、佐藤さんは私の座るソファーの前に腰を下ろし顔を覗く。



「親と喧嘩したとか？心配してるんじゃないの？どこにいるか連絡くらいしといたら？」



「関係ないでしょ」



「ないわけないでしょ」



「関係ない」



「何があったの？」



「言わなきゃいけないの？」



「話したらスッキリするかもしれない」



「しないよ」



「なんで？なんでまだ話してもないのにそんなのわかるの？」




「話してああ、スッキリしたって簡単に解決できるような事じゃないの」



「なんでだよ。話してみないとわかんないじゃん」



「わかるって」



「わかんないって」



聞くことをやめようとしない佐藤さんに私は言ってはならない言葉を発してしまった。


「自分みたいに普通の家庭でぬくぬく育った人なんかにわかるわけないでしょ！！」