ADULT CHILDREN
その日普段から寝付きの悪い私が眠れずにいたのは
苦しいという感情とは程遠い想いを抱いていたからだった。


「また明日…」



―――――明日も彼に会える



はやく会いたい…―――



彼の言葉を呟いては余韻に浸り、幸せな気分のまま
いつの間にか眠りについていた。



彼はそれから毎日会いに来てくれた。

夜中に外へ出る事が、日課のようになっていた。


彼といる時は流れがはやく、時には夢中になって朝方の4時まで話した事もあった。



ちょうど彼の足が殆ど治った頃、父に夜中出ていた事がバレてしまい
それをきっかけにそれからはまた彼が踊り場まで上ってきて話すという前の形に戻っていた。


流石に雨の日は踊り場だとびしょ濡れになってしまうし、
危ないからからその日だけは会うのをやめにしようという約束をした。


だけど、運が悪い事にそう決めた翌日から雨が3日も続いた。


そんな雨の日が続いた4日目、彼は約束を破って私に会いに来た。


傘をさして。


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